【7点】」「ヘラクレス」、ヘラクレスそしてヘラクレス
右を見ても左を見ても「ヘラクレス」
2014年はヘラクレス映画の当たり年、と言っていいのかどうか。
当たったかどうかは別にして、最近のハリウッドの神話ブームにのってヘラクレスものが固まって登場した。
もちろん本命はロック様ことドウェイン・ジョンソン主演の「ヘラクレス」だが、同じ時期に「ザ・ヘラクレス」が全国26館という小規模で公開され、「ヘラクレス 帝国の侵略」がビデオ・スルー。この他にギリシャ神話とは関係ないのだが「ヘラクレス」というインド映画もあった。
「ザ・ヘラクレス」は、主演が「トワイライト」のケラン・ラッツ、監督が「ダイ・ハード2」のレニー・ハーリンなので、宣伝次第でもう少し拡大できたのではないかと思うのだが、ケラン・ラッツではちょっと辛かったのか。
「ヘラクレス 帝国の侵略」は、その「ヘラクレス」と「300 帝国の進撃」を明らかにパクったタイトルからわかるように、大作の便乗作品をあっという間に作るアサイラムの作品だ。劇場公開はまずないが、主演がドウェイン・ジョンソンと同じく元WWEのスーパースターだったジョン・モリソンなので、公開すれば見に行く人は見に行っただろう。
王道ではないストーリー
そして、本命ロック様の「ヘラクレス」ということになるのだが、この3本ともギリシャ神話のヘラクレスの物語とたいして関係のない、後日談や外伝的なものにしているのが面白いところ。
「ヘラクレス」なんかは、予告で獅子やヒドラや猪とハデに闘っているので、神話の英雄譚を真正面から描くのかと思うとこれがさにあらず、で上手いことミス・リーディングさせられた。
口の達者な甥がヘラクレスの強さを語り、一騎当千の傭兵グループが陰で闘いをサポートしてヘラクレスを伝説の勇者に仕立てていくというのは、ギリシャ神話というより、アメリカン・プロレスでいうところのアングル(抗争のための物語作り)みたいで、ロック様にはむしろぴったりくる。いっそ、ヘラクレス自身が毒舌トークをしてもよかったような気もする。
この、みんなが力を合わせて「チーム・ヘラクレス」を作り上げていくというストーリーは、老騎士が急死して従者たちと物語作りの天才チョーサーが若者を騎士に仕立て上げる「ロック・ユー!」にも通じるところがある。
アクション映画も世相を映す
ひところのアメリカ映画は、バットマンやスパイダーマンのような、孤独な悩めるヒーローものが多かったが、最近は一匹狼の集団みたいなアヴェンジャーズを筆頭に、頼れるリーダーの元でチームを組むというのがトレンドらしい。
90年代はそれは「インデペンデンス・デイ」や「エアフォース・ワン」のような戦う大統領の役割だが、今は「俺たちとさほど変わらない奴が戦いの中で英雄になっていく」というタイプが好まれるみたいだ。
現代のアメリカ人が強いリーダーを求めているのは確かなのだろうが、もはや大統領にそれを期待してはいないのだろう。
ロック様の怪力無双ぶりに:7点
監督:ブレッド・ラトナー
主な出演:ドウェイン・ジョンソン (出演作品)
イアン・マクシェーン (出演作品)
ジョン・ハート
ルーファス・シーウェル
この記事を書いた人
- オリオン座近くで燃えた宇宙船やタンホイザーゲートのオーロラ、そんな人間には信じられぬものを見せてくれるような映画が好き。
映画を見ない人さえ見る、全米が泣いた感動大作は他人にまかせた。
誰も知らないマイナーSFやB級ホラーは私にまかせてください。
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