「ジャンゴ 繋がれざる者」~ディカプリオ祭りその2~

ジャンゴ

クエンティン・タランティーノ監督の痛快傑作西部劇「 DJANGO UNCHAINED 」(邦題「ジャンゴ 繋がれざる者」)。「ジャンゴ」とはかつて黒人奴隷だった男の名前で、演じるのはジェイミー・フォックス。
舞台は南北戦争の2年前1858年のアメリカ南部、厳しく奴隷制が布かれていた地域です。
彼は、開放的な考えの持ち主であるドイツ系の白人ドクター・キング・シュルツに助けられて自由の身となり、賞金稼ぎの手伝いをすることになります。
キング・シュルツを演じたクリストフ・ヴァルツはこの作品でアカデミー賞助演男優賞を受賞しています。

しかしこの作品で一番話題をさらったのは、レオナルド・ディカプリオが初めて悪役に挑んだことでした。
映画が始まって1時間も経過した中盤、ニヤけたドヤ顔のドアップで、ディカプリオの登場です。
いかにも南部の大農場の跡取りという脂ぎったオーラを放ち、その存在感は半端じゃありません。

物語

ジャンゴとキング・シュルツとの出会いと賞金稼ぎを描いたあと、物語は中盤へ進みます。
二人は奴隷市場で離ればなれになったジャンゴの妻が、南部の農場主カルヴィン・キャンディ(ディカプリオ)のところにいることを突き止め乗り込んでいきます。そこは残忍な農場主(ディカプリオ)が黒人奴隷を過酷に支配する世界でした。黒人奴隷の妻を助け出したいと言っても相手にされないと考えた二人は、黒人の拳闘士を高値で買い付けにやってきたという大芝居を打つのです。
ドキドキハラハラの心理劇が展開されていきます。

しかし、ギリギリのところで農場主の黒人執事に見破られ、騙されたことを知ったキャンディ(ディカプリオ)の怒りが爆発します。このときの怒りのド迫力! 残忍性と狂気の全開です。

それでもなんとか破格の高値で妻を買い付ける契約を結び、連れて帰ろうとしたそのあと一歩の所で、押さえに押さえていたドクター・キング・シュルツのキャンディ(ディカプリオ)に対する堪忍袋が切れてしまうのです。
あとはドンパチの銃乱射。阿鼻叫喚の地獄絵です。

そして生き残ったのは

早撃ちの腕と才覚で、ひとり生き残ったのは「ジャンゴ」でした。
地獄と化した農場主の大邸宅を炎に包み、彼は妻と共に去っていくのです。
強い男にここまで愛される妻って、いいですね。
これは素直にめでたしめでたしの結末です。

さてこの映画、題材は奴隷制を扱っており、残虐な殺し合いのシーンもあって暗いトーンを想像しがちですが、全編に渡って遊びがあり、クスリと笑わせるシーンが散らばっていてまったく飽きません。
オリジナル曲を含め音楽の使い方も上手で、雰囲気を盛り上げてくれます。
例えば、元歯医者と名乗るキング・シュルツがひく馬車の屋根に揺れる臼歯のオブジェが、実は金庫だったり。名前を呼ぶと馬がおじぎをしたり。ジャンゴの衣装替えにも笑わせられます。
随所にタランティーノ監督のセンスが光る傑作と言えるでしょう。

もうひとこと言わせてもらうなら

ジャンゴが自分の名前のスペルを聞かれて「 D – J – A – N – G – O 、D は読まねんだ」と答えるシーンがあります。それがクライマックスの撃ち合いのシーンに活きてくるのです。
ですから、できればタイトルは原題のまま使って欲しかった。
ちなみに「 UNCHAINED 」の「繋がれていない」というのは、奴隷の足かせにつけられたチェーンを暗示しているのですね。つまり、「自由の身である」ということです。

ジェイミー・フォックス 
クリストフ・ワルツキング  
レオナルド・ディカプリオ 
ケリー・ワシントン 
サミュエル・L・ジャクソン  

この記事を書いた人

くりちゃん
くりちゃん著者
映画を見たり、本を読んだり、音楽を聴いて気ままに暮らし、ときどきこうしてレビューなんぞが書けたら最高。酸いも甘いもかみ分けた大人のレビューが書けるといいなあ。
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