【7点】「ミスター・ピーボディ&シャーマン」の公開は?
11月1日公開はぬか喜びに終わるのか
今年の3月に全米公開されたドリームワークス・アニメーションの「ミスター・ピーボディ&シャーマン」、11月1日に日本公開という話だったのだけど、立ち消えになってしまったようだ。20世紀フォックスは、もうドリームワークス・アニメーションの作品をビデオスルーでしか出すつもりはないという噂が、ますます真実味を帯びてきてしまった。
この「ミスター・ピーボディ&シャーマン」は、全米初登場首位とか、例によって景気のいい話で宣伝されて、実際、そこそこの入りだったのだけど、製作費が1億4500万ドルと巨大すぎるので、全世界興収2億7200万ドルでは、製作費と同規模という宣伝費が丸ごと赤字だったろう。
これよりはるかにヒットして全世界で5億8700万ドルを稼いだ「クルードさんちのはじめての冒険」でさえ日本では劇場公開されなかったので、コケたのに近いミスター・ピーボディが公開されるというのはそもそも眉ツバだったのだけれど。
日本でも1960年代に放映
ただ、ミスター・ピーボディが公開されるとしても、意外ではない要素がひとつだけあった。それは映画の元になったテレビアニメが日本でも公開されていたというところだ。
1961年からNHKで放送された「空飛ぶロッキー君」は、ジェイ・ウォード・プロのアニメを何本もまとめたオムニバス番組で、その中の1本が天才犬のピーボディ博士とその「ペット」のシャーマン(人間)が、歴史を旅する「ピーボディ博士」だった。
毎回、歴史上の事件や人物が登場する「ためになる」系のアニメだったけれど、ピーボディ博士のキャラクターが理想の先生という感じで、日本でも人気があった。
その後、民放でもリピートされているのだが、50代以上でないとピンとこないかもしれない。
「ミスター・ピーボディ&シャーマン」はその「ピーボディ博士」のかなりよくできたリメイクで、知名度はさほどなくとも、きちんとした宣伝をすれば、そこそこヒットしたのではないかという出来だった。
ドラえもんっぽいけれどこちらが先
ピーボディ博士の発明したタイムマシンを勝手に動かしたシャーマンとガールフレンドのペニーが、過去の歴史を変えそうになる騒動に、博士とシャーマンの親権問題をからめて感動ものにしてあるのだけど、ウェットでないところもよい。
ピーボディ博士とレオナルド・ダ・ヴィンチの会話を聞いていると、シャーマンが歴史を変える以前に「博士、あなた歴史に干渉してないか」というツッコミを入れたくなったりするのだけど、まあ、それは深く追求してはいけないのだろう。
あまり利発そうでもないメガネの小学生男子と、タイムマシンやいろいろな発明でそれを助ける天才犬という構図は、わが「ドラえもん」に酷似したところもあるのだが、間違いなくこっちが先なのでパクリとかではない。
酷似しているといえば、ツンデレ気味で最初はシャーマンにひどい態度をとるペニーが、「それでも町は廻っている」のツンデレ娘のエビちゃんと表情までそっくりなのだが、これもパクリとかではなく、今の小学生女子は洋の東西を問わずああいうものなのだろうな。
昔のアニメの劇場版としては珍しく成功
【7点/10点】
この記事を書いた人
- オリオン座近くで燃えた宇宙船やタンホイザーゲートのオーロラ、そんな人間には信じられぬものを見せてくれるような映画が好き。
映画を見ない人さえ見る、全米が泣いた感動大作は他人にまかせた。
誰も知らないマイナーSFやB級ホラーは私にまかせてください。
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