「マレフィセント」は真実と偽りの愛物語である。
「マレフィセント」が「アナと雪の女王」に続いて大ヒットになっています。
アンジェリーナ・ジョリー演じる魔女(マレフィセント)に共感する女性たちがその人気を支えているようです。
強さとかっこよさ、おまけに美しさと愛の力を兼ね備えたヒロインは、まさに今の時代が求める女性像に重なると言えるでしょう。
黒魔女から白魔女へ
魔女は中世以来その特別な力で害悪をもたらすダークな存在として認識されてきました。社会に不安や不満が高まると、人々は「魔女狩り」と称してはけ口を求めたのです。特殊な才能を持った女性が「魔女」のレッテルをはられて迫害され、多くの犠牲者を生みました。
女性が本来の力を発揮しにくい仕組みがあったのです。
そして時代は移り、ご存知の通り「アナと雪の女王」のエルサはその特殊な能力を隠すことなく「ありのまま」の自分で生きていくことを決心したのでしたね。
女性が「ありのまま」を獲得した時代の始まりです。
これを踏まえての「マレフィセント」の登場です。
でも、もはや特殊な能力を振り回すだけでは人々の支持は得られません。
「真実の愛」によりその能力をコントロールし、何に使うべきかが問われているのです。
「真実の愛」とは?
多くの人がマレフィセントは「母性愛」に目覚めたと語っていますが、私は「愛」でよいと思います。
男性にも自己投影して考えて欲しいからです。
その上で「真実の愛」と「偽りの愛」の違いとは何かを考えたいのです。
マレフィセントは恋人の裏切りに会い、王となったその元恋人への復讐のため娘オーロラに呪いをかけました。
それは傷ついた自分を守る自己愛の裏返しとしての憎悪でした。
しかしそのマイナスの感情を溶かしてくれたのが、無垢な存在オーロラです。そしてオーロラを守るため、自分がかけた呪いを解こうとしました。
まさにオーロラへの「愛」が、自分のメンツよりも勝った瞬間です。
オーロラを目覚めさせたのは、行きずりの王子のキスではなく、自分が犯した過ちを心から悔やむマレフィセントのキスでした。
多くの人はここできっと気づくことでしょう。
自分以外の存在の幸せを願うことは、なんと自己犠牲を伴う行為であることかと。
そしてそれこそが、地上で最も尊い「真実の愛」の営みであると。
マレフィセントは呪いを解く伴として「真実の愛」によるキスを設定しました。これは彼女が心の底で本当に探していたものだったからではないでしょうか。
そして、それを自分の中に見つけた時、彼女は最強の魔女としてよみがえったのです。
そして魔女たちは何に対して闘うのか?
現代は女性がその能力を隠さず発揮できる社会になりつつあります。
そう、魔女たちの時代の到来です。
世の中のすべての魔女たちへ、あなたはその能力を何のために使いますか?
どうか「真実の愛」が導く正しい使い途を、ひとりひとりが捜し当てて欲しいと思います。
出演キャスト
アンジェリーナ・ジョリー
エル・ファニン
シャールト・コプリー
サム・ライリー
【吹き替え】
深見梨加
上戸彩
てらそままさき
阪口周平
この記事を書いた人
- 映画を見たり、本を読んだり、音楽を聴いて気ままに暮らし、ときどきこうしてレビューなんぞが書けたら最高。酸いも甘いもかみ分けた大人のレビューが書けるといいなあ。
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