「鑑定人と顔のない依頼人」孤独な男が初めて人を愛したとき

鑑定人と顔のない依頼人

お家で映画鑑賞『鑑定人と顔のない依頼人』

あらすじ・レビュー

天才カリスマ美術鑑定士のヴァ―ジル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)のもとに、依頼が舞い込む。両親の遺した遺品を鑑定して欲しいというのだ。
しかし、この依頼人の資産家令嬢は、絶対に顔をみせようとはしない。
ヴァ―ジルもまた、人付き合いが苦手、そのうえ偏屈、そして、生涯独身を貫き通しているという変わり者であった。超がつくほどの高級品を扱い、手袋専用のクローゼットがあるくらいの贅沢な暮らしっぷり。美しいものにしか触りたくないという彼のこだわりなのか、食事のときも手袋を着用するという徹底っぷり。食器はイニシャルのV.O.が入っていることから、他人と同じ食器は使えないという彼の潔癖というか、こだわりも手に取るように分かる。確かに優雅ではあるけれど、それが余計に彼の孤独な様子を浮き彫りにする。
高級レストランで運ばれてきたバースデーケーキに1本だけささったキャンドルも、寂しさ、孤独さを表しているようにしか見えない。豪華な手袋クローゼットの奥には、セキュリティ万全の大きな部屋がある。そこには、仲間(ドナルド・サザーランド)と組んで不正に手に入れてきた女性の肖像画のコレクションが壁一面に広がっている。
生身の女性には興味を示さず、彼は肖像画の女性を集めていたのだ。これが僕の愛した女性(ひと)たちと。
その異様な光景から、この肖像画が何かキーになることは容易に気づく。

まとめ

さて、そんな孤独を愛するヴァ―ジルが、初めて生身の女性を愛することになる。依頼人の資産家令嬢クレア。彼女は“広場恐怖症”という病気を持っている(という設定)。他人と接触することが出来ず、部屋に籠るという生活を子供のころから続けてきた。そんな彼女の孤独な部分に、自分との共通点を見出し、そして、おそらく彼女が美しい女性であったことも手伝って、生涯独身を貫いてきたヴァ―ジルがいとも簡単に恋に落ちてしまう。ここはちょっと納得がいかなかい感じだったけど、物語の設定上、恋に落ちる過程は外せないのだろうなというとこだ。彼女に愛もお金もつぎ込んで、仕事も勇退し、これから幸せな生活が・・・のはずだったのだが、テーブルを囲み、『ここはみんな家族だ』と確かめ合った仲間たちは、全員ヴァ―ジルを餌にしていた。グルだったのだ。
裏切りにより、またもや孤独な世界に戻ってゆくヴァ―ジル。でも、ちょっと待って。信じた仲間、愛した女性はすべて偽物だった。これは罰なのかもしれない。
自分のコレクションのために、その立場を利用して、長年にわたって偽物を扱ってきた。
そして今度は、自分が人間の愛情、友情の偽物をつかんでしまい、そして、自分自身で悲しい結末に導いてしまったのだ。
(HaLu)

キャスト

原題:La migliore offerta
2013/イタリア 上映時間131分
監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
撮影:ファビオ・ザマリオン
美術:マウリツィオ・サバティーニ
衣装:マウリツィオ・ミレノッティ
編集:マッシモ・クアッリア
音楽:エンニオ・モリコーネ

この記事を書いた人

HaLu
HaLu
映画のこと、音楽のこと、ファッションのこと、グルメのこと、マンガのこと、本のこと、旅行のことなどなど、ときどき書いてます。新作から掘り出し物の作品まで、おススメを紹介していきたいと思います。
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